「スーツケース激戦時代」に求められる、理想のスーツケース選びの最適解とは? Part2
DATE多種多様なスーツケースが登場しつつある「スーツケース激戦時代」。Part1では、数ある中から自分にとっての理想のスーツケースを選ぶポイントについてお話してきました。Part2では、現代のスーツケースを取り巻く社会問題やトレンド、そして業界の未来について、引き続き、斉社長と佐藤氏、藤井氏2名の専門家とともに議論を深めていきます。
スーツケース放置問題から考える、サステナブルな取り組みとは
斉:
最近、ニュースで「放置スーツケース問題」という言葉を耳にします。T&Sでは、素早い修理サービス、リサイクルや寄付など、スーツケースの “その後” を考えた取り組みを進めています。藤井さんも最近、記事で修理やリユースの大切さについて触れられていましたよね。こうした取り組みの重要性について、どう感じていらっしゃいますか?
藤井:
そうですね、最近の修理業者さんへの取材で、ちょうど放置スーツケースの話題が出たところです。スーツケースの放置って実は処理が大変で、爆発物や危険物の可能性も考えて警察沙汰になることも少なくないんです。また、通常のゴミにはできないので、有料で粗大ゴミにしなければなりません。
放置の原因としては、海外からの観光客が安いスーツケースを持ち込み、壊れたら放置して日本で新しいスーツケースを購入していくというパターンも多いようです。これからいえることは、あまりに安かろう悪かろうでは、使い捨てにするハードルも低くなってしまうということなんじゃないかなと。逆にそういう使い方を目的にしている方もいるかもしれませんが、やはり破棄する時の環境負荷などを考えると、捨てることを前提として買うのではなく、信頼性のあるメーカーのスーツケースを買って、大切に使っていただきたいと思いますね。また、破損しやすいパーツを修理や交換がしやすい構造にしたり、メーカーさん主導でのリユース、リサイクルが今後増えていけば、こういった問題も少なくなるのかなと思います。
斉:
確かに、本当に大事に使っていて相棒のようなスーツケースであれば、不法投棄なんてできないですよね。メーカーとしては、品質が良いものを責任持って送り出すことを今後も意識していきたいなと思っています。佐藤さんはいかがですか。
「捨てる」は悪いばかりじゃない。買い替えのためのスキームを持つ大切さ
佐藤:
もちろん、不法投棄などスーツケースを簡単に捨ててしまうというのは問題です。一方で、ライフステージが変わっていけば必要なものも当然変化してくる。そんな中で、捨てたくなってしまう気持ちもあると思うんです。そこで、いかに罪悪感なく処分できる仕組みを作るかというところが、業界全体としての課題なんだろうなと思っています。 最近のスーツケースは、きちんとしたメーカーのものであればどんどん壊れなくなってきています。下手すると10年とか使えちゃったりする。 消費者にしてみれば良いことに違いないですが、一方で、もっと気軽に買い替えてもらうことで業界も発展していくし、市場もどんどん広がっていくという側面もありますよね。
なので、スーツケースを買い替えるスキームみたいなものが作れたらいいなと。 先ほどもお話に出ましたが、Legend Walkerさんが既にされているリサイクルの取り組みなどがそうですね。
斉:
本当にそうですね。弊社の商品もなかなか壊れないので、どう次の購入の動機を作っていくのかは課題です。現在Legend Walker表参道旗艦店で行っているのは、新しいものを購入するついでに店舗に持ってきていただき、古いものを下取りする取り組み。皆さま粗大ゴミに出すのが面倒だったり、捨て方が分からなかったりするので、このような取り組みを増やしていけば、買い換えのハードルも下がりますし、古いものをリサイクルに回せるのでよりサステナブルです。
スーツケースのトレンド ― 個性を紡ぐ、マイ・スーツケース
斉:
つづいて、最近のスーツケース業界のトレンドについてお聞きしたいと思います。お2人の中で、最近注目すべきトレンドやトピックはありますでしょうか?
佐藤:
最近は、旅行だけでなく出張、ビジネスのデイユースなど国内での使用も増えているので、海外旅行に求められる軽量化の要素だけでなく、むしろいろんな機能がついているモデルが増えてきています。スマホを立てたり充電ができたり、そのままノマドデスクになるんじゃないか?ぐらいの多機能さ。いろんなキャラクターが増えてきているので、Part1で藤井さんがおっしゃったように、自分のニーズに合うのはどれなんだろうと考えて、ピッタリのものを選ぶ楽しさもありますね。
斉:
まさに、みんなが同じ方向に行くのではなく、いろんな人がいるからこそ様々なタイプのスーツケースが必要だという基準。そういったダイバーシティの尊重も、もの作りの中で体現していきたいなと感じてます。 藤井さんはいかがでしょうか?
藤井:
最近は、カスタマイズができるスーツケースもよく出てきている印象ですね。 例えば、パーツの色や素材を変えたり、ボディーとキャスターなどの色合わせを自由に選べたり。オリジナルのネームタグが付けられたり。これも、 佐藤さんや斉社長のおっしゃるように、様々な機能やダイバーシティから、自分だけのマイ・スーツケースを持ちたいという流れに繋がっているのかもしれません。スーツケースをより個性的に持とうという傾向なのかなと。
佐藤:
そうですよね、伝道師としても、マイ・スーツケースとして「愛着を持つ」ということは、もっと伝えていきたいポイントです。何なら、 名付けても面白いんじゃないかって。ネームタグなんかに名前入れたりして。名前を付けると、物に愛着が湧くじゃないですか。
藤井:
タグに、自分の名前じゃなくてスーツケースの名前を入れるんですね(笑)
斉:
マイ・スーツケースとしてスーツケースに個性を出す、面白いですね。表参道旗艦店では刻印サービスを行う予定ですので、店頭で注文して、大体2日後にご自宅に届けるような形で名入れサービスができます。もちろん、スーツケース自体のお名前を入れていただいても構いませんよ(笑)。
おわりに
さて、全2回にわたって、専門家のお2人と共に議論してきた “「スーツケース激戦時代」に求められる、理想のスーツケース選びの最適解” について。進化しつつある現代のスーツケースは、ただ荷物を運ぶ箱というだけではなく、それぞれに多様な個性があります。その中から理想の1台を選ぶというプロセスは、まるで恋人や人生の相棒を選ぶことと似ているのかもしれません。
Legend Walkerは、2025年9月、国内初の旗艦店を表参道にオープン致しました。店舗では「旅のコンシェルジュ」をテーマに
- 一人ひとりの旅に寄り添う提案型接客
- スーツケースを実際に試走できる体験ゾーン
- 荷造りをシミュレーションできる模擬パッキングコーナー
などをご用意し、理想の1台を選ぶきっかけづくりの場を提供致します。「あなたも、ココロも、動かす」を合言葉に、この表参道旗艦店が皆さまの旅の起点になれば大変嬉しく思います。
