世界40カ国を巡った大手商社マン 蓮村さんのSTORY ~旅に求めた「原風景」と、そこから得たもの~
DATE学生時代にバックパッカーとして40カ国を旅し、現在は大手総合商社に勤務する蓮村俊彰さん。イラクへの駐在を前に、これまでの人生とは切っても切れなかった旅へ思いを馳せます。世界を巡る中で追い求めてきた「原風景」、そしてその正体とは?今回は、グローバルに活躍する蓮村さん流の旅について語っていただきました。

旅の原点
学生時代にバックパッカーとして40カ国を旅されたとのことですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。
昔から、TBSの『世界遺産』や『世界の車窓から』といった旅番組が好きでした。画面の向こうに映る旅先の風景を見ていると、なぜか無性に郷愁のようなものを感じていたんです。何かの「原風景」を見た時のような、この感覚の正体を知りたくて、いつか番組に出てくるような世界の場所に行ってみたいという思いがありました。そして、学生時代に1年間休学をして、南米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジアなど40カ国を巡りました。
1年間で40ヵ国を訪れたのですね!実際様々な場所を訪れて、どんなことを感じましたか?
そうですね、マチュピチュやアンコールワットなどの遺跡では、包み込まれるような感覚に圧倒されました。印象的な体験としては、エジプトのシナイ山に登った時のこと。山頂で朝日を拝んだのですが、その場にいた人たちが皆号泣していたんです。というのも、シナイ山は旧約聖書でモーセが神から十戒を授かった場所。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地とされています。これらの方々にしてみれば、強烈な何かを感じる場所だったんでしょう。僕は宗教的にその感覚がなく、少し羨ましくも感じた出来事でした。もしかしたら、このようなグッとくるものが僕なりにどこかにあるんじゃないのか、それを探してみたいと思いました。
「原風景」の正体
郷愁を感じさせる「原風景」の正体を探しに出た旅でしたが、それは見つかりましたか?
結論をいえば、僕が追い求めてたものはこれまでの旅では見つかりませんでした。様々な風景を見て感動を味わうにつけ、自分の中にある「原風景」がどんどんアップデートされていくような感覚に陥ったんです。これは終わりのない探し物なんじゃないかと思うようになりました。
では、探し求めていたものの正解はなかったと?
考えていた形ではありませんでしたが、その正体であろうものは見つけることができました。ある時、たまたま再放送でアニメ映画版『銀河鉄道の夜』を見たんです。その時、旅番組を見ていた時に感じたような郷愁がふいにフラッシュバックしました。全く記憶になかったのですが、母曰く、アニメ映画『銀河鉄道の夜』は僕が幼い頃に繰り返し見た作品なのだそうです。それこそビデオテープが擦り切れるほど。 もちろんフィクションなのですが、もの心つかないような幼児には、フィクションと現実の違いもつかないまま、画面の向こうを地続きに認識していたのではないでしょうか。そして、ある日テープが擦り切れて、二度とその映画を見られなくなり、懐郷病、ホームシックに陥ったのではないかな、と。
私はユトリロやマグリットといった画家が好きなのですが、アニメ映画版『銀河鉄道の夜』の作画は明らかにこの辺の画家の影響を受けているので、通じるものがあったのでしょうね。
実際の旅先にはなかったものの、その正体は見つかったのですね。では、現在は旅に対して何を求めているのでしょうか?
フィクションの世界は実際には存在しませんが、その元になった世界観のかけらや、影響を受けた街並みは世界中に散らばっています。今は、そういったかけらに触れに行くという心持ちです。まだ見ぬ地を訪れたり、新しいものに触れることも好きなので、プライベートで旅に出ることはもちろん、出張でも土日を挟むときなどは現地でブラブラしています。
旅の価値
原風景探しの旅を経て、今、旅が蓮村さんにもたらしているものは何でしょうか?
移動距離は、人生の豊かさに正比例していると思うんです。海外でなくても、日本をくまなく周る旅でもいい。とにかく移動して、新しいものを見て、食べて、話を聞いて、交わっていく。そこで得た空気の匂い、土の匂い、音といった抽象的なものを受け止めれば受け止めるほど、心が豊かになっていく気がします。
旅に出れば出るほど、人生も豊かになるということですね。旅の経験は、ビジネスマンとしてのレジリエンスにも繋がっていますか?
そうですね。レバノンで誤認逮捕されたり、イランで車に轢かれたりといった大変な経験もしましたが、おかげで、ビジネスでもプライベートでも、何が起きても「死ぬわけではないだろう」と、動じないタフさも身に付きました。
また、実際にいろんな土地を踏むことで、地理的な「解像度」を高めることができています。例えば、イラクや中東と聞くと、一律に「危険」とみなされがちですが、実際には地域によって状況が大きく異なり、行ってみると危険を感じるところばかりではありません。今回駐在するイラクにも不安はなく、新しい環境、新しい課題に直面するのが楽しみです。
蓮村さん流の旅のスタンスや価値観とは?
あまりセカセカするのは好きではありません。地名や店名、料理名といった様々な名称、つまり情報や記号的なものはあまり重視せず、観光地を全部周ったり名物を全部食べたりする必要はないと思っています。なんなら1日中ホテルでゆっくりしていてもいい。その土地の空気感を味わい、自然体でいることを大切にしています。だから、街や店の名前、メニューの名前などはすぐに忘れてしまうか、そもそも確認もしていないんですが、そこで受けた印象や空気感はいつまでも覚えていますね。
これから旅に出る方に一言お願いします。
行動量が大きければ大きいほど、出会いに恵まれる確率も高くなります。例えば、エジプトで出会った人に、ウズベキスタンで再会したような偶然もあります。じっとしているピンポン玉よりも、あちこち飛び跳ねているピンポン玉の方が、ぶつかる可能性が高いのと同じです。もし今いる場所で何か迷いや生きづらさを感じているのなら、新しい場所探しに旅に出ることで、出会いや突破口も見つかるのではないでしょうか。

今回、イラクへの駐在にあたり、LEGEND WALKERのスーツケースをご購入いただいたとのことですが、選定の経緯を教えていただけますか。
以前使っていた、ノ-ブランドのスーツケースが直せないほど壊れてしまったのがきっかけです。新しく通販で買ったスーツケースは、届いてみると表示上の容量よりはるかに小さく、必要な荷物が入りませんでした。そこで、きちんと店頭で実物を見て、これなら大丈夫だと決めたのが、たまたまLEGEND WALKERさんの100L入る大容量5510-70 DECKだったというわけです。
蓮村さんは身長も高く、衣類や靴などがかさばるとお聞きしました。
その通りです。自分のサイズの服は海外で手に入りにくいので、大量に持って行く必要があります。靴も30㎝あるので、とにかく荷物がかさみます。そのためスーツケースの容量は死活問題でした。角ばったデザインが隅々まで荷物を入れやすく、同じものを複数購入しました。

海外ではスーツケースを乱暴に扱う人もいて、やはり頑丈であることは重要なポイントです。出張と出張の間が短いことがあるので、万が一壊れた時でも、修理対応などアフターサービスが速くて助かっています。マンションの内廊下を転がす時に、音が響かないのも良い点ですね。また、私の選んだモデルは四角くて積み重ねやすいので、縦に積んで収納できるのも気に入っています。
ありがとうございます。修理対応では、業界最短を目指しています!
衣類以外で必ず持っていくマストアイテムがあれば、ぜひ教えてください。
使い慣れている常備薬です。現地で買えるものだと身体に合わなかったり、場合によっては不審な成分が入っていたりするリスクもゼロではないので。ロキソニンやカロナールといった痛み止め、解熱剤を大量に持ち歩いていますね。
長旅ならではの具体的なTIPSはありますか?
貴重品の分散ですね。現金とカード類は、財布の中、携帯の脇、そしてスーツケースの中の3箇所に分散させています。
スーツケースの中に入れるというのは、預けるリスクを考えると少し心配なのですが...
スーツケースは、あくまで最終手段です。大使館までの交通費と1泊分の食事がなんとか賄える程度の少額の現金を、スーツケースの裏地にあるメンテナンス用ジッパーを開け、板の裏にガムテープで貼り付けて隠しています。盗難や強盗に遭っても、ホテルにたどり着きさえすれば、キャッシュがあるという状態にしておくためです。これは学生時代から常にやっている癖ですね。
まさに、バックパッカー出身の商社マンならではの知恵ですね。参考にさせていただきます!
おわりに
大手総合商社にてグローバルに活躍する蓮村俊彰さん。はじめは「原風景」の正体を追い求める旅でしたが、結果的に、自身の感性や感覚が磨かれ、人生が豊かになるという経験を重ねてきました。幼い頃に見た「原風景」のかけらを見つけに行くと同時に、今では新しい土地を訪れ、新しい発見をするのが好きだという蓮村さん。イラクという新天地でのご活躍、そしてLEGEND WALKERとの旅を、これからも応援しています。
インタビュー:斉真希
ライター:藤井麻未
