
大手企業を飛び出しイギリスへ 大西鴻太さんのストーリー ~29歳 自分の道を選ぶ旅~
DATEメディアやITソリューション事業などを手がける株式会社リクルートに新卒で入社し、営業や経営企画、投資関連業務など多岐に渡る経験を積んできた大西鴻太さん。しかし、そのキャリアを捨て、29歳にして突如海外へ渡った理由とは。クックパッドUKへの転職後、各国でニート生活を送る中、自らの心の声を聴くことで見えてきたのは、これから進むべき人生の旅でした。今回は、海外転職とニート生活を経てイギリスで起業することを選んだ鴻太さんに、激動の1年3ヵ月を語っていただきました。

29歳 、安定を捨て挑戦の道へ リクルートでの6年間
リクルートでは、営業、経営企画、投資事業など本当に色々なことをされていたんですね。そこから、なぜクックパッドで新しい挑戦をしようと思われたのでしょうか?
リクルートは本当に楽しかったです。当時はビジネスの力をつけたいと思っていましたし、色々なことを学ばせてもらいました。でも徐々に、コーポレート投資やデューデリジェンスといった管理側の立場ではなく、自分自身が「思い」をもって何かを作り上げたい、「手触り感」のある事業をしてみたいという気持ちが強くなっていったんです。海外に出て挑戦したいという気持ちもずっとありました。
リクルートでは安定した環境にいさせてもらいましたが、素直にやりたいことで自分の道を切り開きたいという思いが募ってきて。年齢を重ねる前ならば失敗をしても良いのじゃないかと考え、転職を決意しました。
なるほど、新しい道を切り開きたかったんですね。数ある選択肢の中から、イギリスのクックパッドを選ばれたのはなぜですか?
いくつか他の会社とも話をしたんですが、クックパッドのイギリス拠点がやっていた料理コーチングサービスは、まだPMF(プロダクトマーケットフィット)しておらず、仮に失敗しても面白い経験になるようなフェーズだと感じたんです。中途半端にキャリアを積み重ねるよりも、全く違う環境に身を置いて、経験として得られるものも大きいのではないかと思いました。
リクルートのような大きな組織から、まだ立ち上げフェーズの事業に飛び込むのは大きな決断だったと思います。結婚されたばかりで、奥様も一緒にイギリスに行かれたんですよね。奥様の理解や協力はありましたか?
パートナーともよく話し合いました。僕がこういう思いを持っていることを伝えたら、僕の挑戦を面白がってくれて、2人で一緒に新しい道に進むことを決めてくれたんです。僕たちは、お互いが本当にやりたいことを我慢するのは不健康だと考えていたので、2人の思いを実現するため協力し合いました。結婚したからといって、お互いを縛り付けるのではなく、それぞれのやりたいことを尊重し合える関係なのは有難いです。
イギリス・クックパッドでの挑戦と葛藤
素敵なパートナーシップですね!クックパッドでの経験はいかがでしたか?
就職する前に1週間ほど、日本のクックパッドで働く機会があったんですが、実はその時から、ビジョンはすごく大きいけれどビジネスの作り方や価格設定などに疑問を感じる部分はありました。ただ、創業者の熱意や実行力はすごいと感じていたので、その下で吸収できることもあるだろうと思っていました。
実際に入ってみると、スピード感や求められる要求は非常に高かったです。1日に何度もアップデートを共有するような、目まぐるしい環境でした。覚悟はしていましたが、実際に体験すると、精神的に疲弊していくのを感じました。最初は自分が適応しようと努力したのですが、徐々に「このままで良いのか?」と感じるようになりました。
そうだったんですね。具体的に、どのような点に違和感を感じられたのでしょうか?
事業成功の見通しもそうですが、自分が得られるはずのスキルに納得できない部分が多かったんです。例えば、初期の段階ではひたすらインスタグラムでDMを送ってインタビューするといった業務ばかりで、事業を成功させるためのプロセスとしては理解できるものの、自分のスキルアップには繋がらないと感じました。
なるほど…。それで、離れることを決断されたんですね。
はい。イギリスに来て3カ月ほどでエネルギーが3カ月断をしました。自分の力不足でもありましたが、それは仕方ないと思っています。
看板のない自分 フラットな思考と無限の可能性
その後、初のニート期間を経て、何を感じたのでしょうか?
これまでまじめに勉強し、大学を卒業して新卒で働いていたので、人生で初めて、空白の3カ月間「看板のない自分、何でもありの期間」を経験しました。それが不思議と心地よくて、新しい視点でフラットに考えたり、内省したり、充電することができました。ニート期間を通じて、今後の可能性は無限大であると感じ、自分の気持ちに素直に向き合うことの大切さ、「純度の高い意思決定を続けること」が重要だと考えるようになりました。
「純度の高い意思決定」とは、具体的にどういうことでしょうか?
外部の情報やバイアスから距離を置き、自分の気持ちに素直に向き合うことで、既存の価値観に引っ張られない意思決定をすることです。今いる場所を離れたり、違う環境に入ることで、多角的に物事を捉えられ、自身の本当の考えをより深く理解できると感じています。
ずっと書き続けてきたnoteにも、5年後の年収がいくらになるというような話ではなく、どう生きてどう死にたいのかというような、より透明度の高い言葉を書くようになりました。
「透明度の高い言葉」って素敵ですね。海外を旅することも、日本での価値観から離れるという意味では有効ですよね。
はい。僕が旅が好きなのは、常識や良識の多様性を感じることで、日本での価値観から解放されるからです。例えば、フィリピン、ボホール島にある小さな村でのボランティア経験は、既存の価値観を見つめ直す良い機会になっていますし、「何者でもない自分」を認識し純粋に自分の心に従うことの重要性を体感しました。
現在、そして未来へ 日本食ECと起業への情熱
イギリスでの再出発を選んだ理由は何ですか?
もともと4歳~8歳にイギリスに住んでいたこともあり、第二の故郷であるイギリスで新しいチャレンジをしたいという思いがありました。そんな中、イギリスの友人や仲間を通じて日本食ECの代表と出会ったんです。同時期、パートナーも仕事で色々と疲弊していましたが、お互い立て直して最終的にまた2人でイギリスへ戻って来ることができました。
奥様との関係も、お互いのリズムが合っているところがすごく素敵だなと思いました。現在は日本食ECの事業に携わりながら、ご自身の起業も進められているとのことですが。
今は「自分で人生を切り開きたい」という強い思いがあって、その手段の一つとして日本食を海外に広めることに魅力を感じています。ただ、最終的には自分の手で事業を始めたいという思いがあるので、起業も同時に進めています。

イギリスに転職する際、LEGEND WALKERの5514を2つ購入して下さったとのことですが、使ってみていかがですか?
軽さと収納力が気に入っています。引っ越しも多く、日本とイギリスをこれで行き来しているので、たくさん入る点が本当に助かっています。実はパートナーも同じスーツケースを色違いで購入しました。荷物が隅々まで入るシンプルな構造が好きですね。このスーツケースに入るものだけしか新生活のお供にできないので、本当に大切なものは何か選別するきっかけにもなりました。例えば、いい服よりも、結婚の時にみんなが書いてくれたメッセージを選ぶというように、物質的な価値ではなく、人生の旅を続けていく中で自分の力になると思ったものを入れていきました。


引っ越し時に使う、大・中サイズの5514(写真は拡張した状態)
素敵な考え方ですね。それにしても1人当たりスーツケース2つだけで生活するなんて凄いですね!
純度の高い意志決定をするためには、なるべくそれを阻害する要因を消したいんです。できるだけ身軽にした方が、色んな決断や新しい環境への移行がしやすいからです。
何か改善点や便利だった機能などはありますか?
拡張機能はとても重宝です。日本から出国するときは小さくして持って行き、イギリス国内でものが増えたり引っ越しで移動したりする際には拡張できて便利でした。改善点としては、かなり使用頻度が高いのとイギリスの石畳で酷使しているので、キャスターの消耗が早く、がたつきが出てきてしまいました。
貴重なご意見有難うございます!次回の帰国の際にはキャスターはメンテナンスに出してくださいね。新しいものに取り換えます。拡張機能も気に入って頂き嬉しいです。 実はこの5514は大人気商品で、もうすぐ新色が出る予定なんです 。本日の謝礼として、日本に帰国された際にお好きなスーツケースをお送りしますので、ぜひお使いください 。
おわりに
29歳 にして、日本での安定を捨て海外での転職に踏み切った鴻太さん。様々な苦難を乗り越え、イギリスでの起業へと辿り着いた経緯には、決して順風満帆とはいかなかったからこそ気付くことができた、自分自身の心の声がありました。そんな旅の傍らにいたのはレジェンドウォーカー5514。シンプルだからこそ、人生の旅に本当に必要なものを選ぶことができたのかもしれません。これからも5514と共に、夢の実現に向けて素敵な旅を続けてくださいね。
インタビュー:斉真希
ライター:藤井麻未